■トルコ共和国における資料調査

 [期間] 2009年8月12日(水)〜9月13日(日)
 [国名] トルコ共和国
 [出張者] 齋藤久美子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー)

[概要]
 報告者は2009年9月3日(木)から9月12日(土)までトルコ共和国イスタンブル市に所在する研究機関で資料調査及び収集を行った。 この調査は、公募研究「イスラーム圏におけるイラン式簿記術の展開:オスマン朝治下において作成された帳簿群を中心として」(代表 者:高松洋一)という研究課題を遂行するためのものである。

 調査を行う予定であったスレイマニエ図書館については、断食月(8月21日〜)開始数日前に突然、館内整理のために断食月の間閉館する ことを発表したため、調査をすることができなかった。同様に、調査予定であったバヤズィト図書館についても、現在建物修復中のために 写本部門が閉鎖されており、調査を断念せざるを得なかった。このように、上記二研究機関での資料調査が不可能となったため、調査期間 の全日を首相府オスマン文書館での調査にあてた。

 首相府オスマン文書館では、オスマン文書史料における「イラン式簿記述」の用例を広く収集するという目的のもと、調査を行った。 今回重点的に調査したのが租税台帳である。調査の結果、収集したのは、チェミシュゲゼク県簡易台帳、ディヤルバクル州簡易台帳(部族民 に授与されたディルリク含む)、ハサンケイフ・ヌサイビン県簡易台帳(アクチャカレ、スィイルト、ラッカ、スィンジャル、ハブル諸県含 む)、ディヤルバクル州明細台帳(クルプ、テルジル、アタク、ハサンケイフ、スィイルト、ヌサイビン、アクチャカレ、スィンジャル、 ハブル、デイリュラフベ、ジェッマーサ諸県)というディヤルバクル地方に関する四冊の台帳である。上記ディヤルバクル地方は、本年1月〜 2月に同文書館で清水保尚氏が調査対象としたアレッポとその周辺地域に隣接していることから、今後、二つの地域間での比較検討も可能と なるだろう。

 上記租税台帳以外には、シェフリゾル州ギョニュルル兵俸給簿、イェニチェリ兵俸給簿、オスマン王家祝祭に関する会計簿、ディヤルバクル 財務組織会計簿を始めとする文書史料を収集した。

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